BCP(事業継続計画)対策とは

BCP対策とは?災害時に企業はどう備えるか BCP対策(事業継続計画)の重要性と手法

BCP対策とは BCP:Business Continuity Plan

BCP対策とは

BCPは事業継続計画(Business Continuity Plan)の略です。
BCP対策とは、企業が災害やテロ・システム障害などで通常の運用ができなくなった時でも核となる事業を継続するための対策を指します。最重要事業を継続することで企業は危機的状況にあっても、生命線を維持することができます。
不測の事態で事業における重要な機能を停止せざるを得ない状況に陥った時に、予め策定した計画に沿って動くことで被害を最小限にし、事業の復旧と継続を実現することを目的にしています。

BCPの定義

BCPの定義:潜在的損失によるインパクトの認識を行い実行可能な継続戦略の策定と実施、事故発生時の事業継続を確実にする継続計画。事故発生時に備えて開発、編成、維持されている手順及び情報を文書化した事業継続の成果物。出典:英国規格協会(BSI)3が策定したPAS56「事業継続管理のための指針(Guide to Business Continuity Management)」

BCPとBCMの違い

BCPとBCM

BCP対策を考える上で忘れてはならないのがBCMです。BCPを運用するためのマネジメントをBCMといいます。
BCMの定義:組織を脅かす潜在的なインパクトを認識し、利害関係者の利益、名声、ブランド及び価値創造活動を守るため、復旧力及び対応力を構築するための有効な対応を行うフレームワーク、包括的なマネジメントプロセス。英国規格協会(BSI)3が策定したPAS56「事業継続管理のための指針(Guide to Business Continuity Management)」
日本ではBCP対策が普及しつつあります。適切なBCP対策を立てることと、非常時にその計画に沿った手順で運用し、プロセスの改善を図るマネジメントを行うこと(BCM)が重要です。
両方が正しく機能しているか以下のチェック事項で簡単にチェックしてみましょう。

BCPチェック事項 チェック内容
① 中核事業の選定  自社の経営の基盤となる利益が大きい事業や重要顧客を経営者が選定し、限られたリソース(人員、設備、原材料等)を注力して早期復旧を目指します。
② 目標復旧時間 中核事業を復旧するための目標復旧時間を決定します。中核事業の内容から非常時から復旧までのタイムリミットを測り、会社のリソースから現実的に実現可能な復旧時間にしましょう。
③ 事前対策や代替品の検討 中核事業の復旧に必要なリソースを事前に準備したり、代替となるものを非常時に利用できるよう取り計らいましょう。
BCMのチェック事項 チェック内容
① 主要取引先に事前にBCP対策を共有し理解を得る 中核事業の維持のため優先的に注力すべきポイントについて取引先に説明し理解や承認を得られるといざという時にスムーズです。緊急時に意思疎通をするための連絡手段や目標復旧時間なども共有し迅速に対応できるよう準備します。
② 自社でBCP対策について研修を行い社内に浸透させる 災害時は指揮系統が混乱することも考えられます。現場の一人一人が安全で正しい行動基準を持つことで事故のリスクや機能停止を最小限に抑えることができます。
③ 定期的に見直しを行う 社内のリソースや事業を取り巻く状況は常に変化しています。BCP対策策定後も定期的に見直しブラッシュアップをすることで常に実現可能な状態に保ちましょう。

事業内容によりリスクの性質と復旧方法が異なるため、各社ごとに策定します。また非常時に事業をすみやかに復旧するためには経営者がリスクに備えた実現可能な計画を具体的に打ち出し、あらかじめ研修などを行い社内に浸透させておくことが重要です。また事業の復旧の遅れは重大な機会損失に繋がります。その結果企業評価にも影響を与え、シェアの低下や事業縮小、廃業へ繋がることもあります。社内だけではなく顧客や取引先にも事前に共有し非常時の対応について理解を得られている状態が理想です。一度策定した後も定期的に見直し、社内訓練を行いましょう。会社が優先的に復旧に取り組まなければならない中核事業の選定や、それを復旧するためのリソース、目標復旧時間などが事前に共有されていれば、社内連絡が混乱しがちな非常時にも迷わず現場が訓練通りに動くことができます。

BCPの普及事情 海外、業界

海外のBCP普及事情

BCP対策の普及

海外でのBCPの普及事情を見てみましょう。アメリカでは同時多発テロ事件以降、大手金融機関を中心にBCP対策の見直しと強化が進みました。日本でも阪神淡路大震災をきっかけに時系列で「事前対策」、「緊急時対策」、「復旧対策」の3つに分類されるリスクマネジメントシステム構築のための指針(JISQ2001)が2001年に制定されました。
欧米では既に多くの企業がBCPの重要性を認識し取組みを進めており、BCMの導入も促進しています。アジア圏でもシンガポールは金融当局によるBCMの実質的な強制を行っています。
日本でもBCPへの意識が高まりつつありますが、BCP対策を策定する労力やコストに対して費用対効果が見えづらいのが今後の課題と言えるかもしれません。
BCP対策への意識が比較的高いIT業界では可用性を維持するために、地震などで情報処理環境のある建物が破損した時に備えて遠隔地にバックアップサイトを確保するなどの対策が取られている企業もあります。海外取引を行うIT企業や、製造業では世界的にBCPの必要性が認知されている現状に合わせて徐々に変革が進んでいます。

業界別BCP対策普及事情

業種別BCP対策

業種別にBCP対策の策定状況を確認しましょう。最も策定率が高いのは、電気・ガス・熱供給・水道で継続調査では金融・保険業が高い結果になりました。運輸業・郵便業の策定率も高まりつつあり、業界別では三番目となっています。4番は製造業、5番は建設業です。全体では大企業の6割、中小企業の3割がBCPを策定しています。BCP策定に至った結果として最も多いのが「近年多発する自然災害への備え」、2番目が「過去の被災経験から」となっています。自然災害が多発している現状に危機感を持ち、実際に被災したことから策定に踏み出す企業が多い状況です。
物流業界ではBCP対策の策定率は低めです。物流事業者と全業種のBCP策定率を比較すると、物流事業者の策定率は21.5%。物流事業者がBCPを策定していない理由としては、半数以上の事業者が「スキル・ノウハウが不足している」と回答しています
介護業界では、2024年4月以降全ての事業者にBCP策定が義務化されます。介護事業者のBCP策定義務化については以下のコラムをご覧ください。→介護事業者のBCP策定義務化

製造業のBCP対策の懸念点

製造業とBCP対策

日本の製造業では、資金の都合により工場やシステム、倉庫・物流を一か所に集約している企業でよく見られます。これは可用性の観点で見るとやや不安です。
なぜなら製造拠点と保管倉庫を遠隔地に置いた場合、どちらかが機能停止しても片方の機能で補うことができます。保管倉庫が破損して在庫が0になっても製造拠点が稼働していれば在庫を補うことができますし、製造拠点が破損した場合でも倉庫の在庫が無傷であれば当面の出荷分をカバーして事業を継続することができるからです。
※株式会社ウインテックスは東日本・西日本に製造拠点があり、それぞれの拠点で同じようにラミネート加工、ワインダー加工、断裁や小巻加工ができる体制となっています。東日本大震災の際は、即座に福島県いわき工場の従業員が大阪堺工場へ移動し、生産を大阪へ移管することで事業活動を維持し、一件の納期遅延を起こすことなく生産を継続できました。
 →株式会社ウインテックスとは

災害とBCP対策 地震や豪雨災害にどう備えるか

BCP対策と災害

BCP対策は自然災害以外のあらゆる危機に対応するものであり、災害対策とはイコールではありません。実際、多くの企業が経験する業務中断の事例の多くは機械故障やソフトウェア障害通信の故障によるものです。その他にも、疫病や、火災、サイバーテロ、停電、テロリズム、 窃盗(内外の脅威、重要な情報及び物品)などが考えられます。
ですが経済産業省の事業継続計画策定ガイドラインのBCP対策の必要性の項目では以下のように災害対策の重要性が述べられています。

経済産業省の事業継続計画策定ガイドライン
「日本では、地震、火災・爆発、大規模なシステム障害1などが相次いでおり、その結果、基幹となる事業の停止に追いこまれるケースが見られる。この場合、財物への直接の被害や、基幹事業が停止している間の利益を損なうばかりでなく、取引先や顧客を失う大きな原因となり、ひいては事業からの撤退を余儀なくされることになりかねない。また、近年発生している基幹事業の停止は、自社の損失にとどまることなく、取引先や顧客の事業停止へと影響が連鎖している。」
引用元(経済産業省企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会 報告書 序論より)

日本は元々地震・津波が多い国です。さらに近年は温暖化による豪雨災害も増えており、土砂災害も警戒しなければなりません。日本に拠点をおく企業のBCP対策には地震や津波などの自然災害のリスクを必ず盛り込む必要があります。
今後国内でもBCP対策は経営上のリスクマネジメントとしてどの企業も当たり前に取り組むことになるでしょう。海外の企業では既にBCP対策で他社と差別化し、企業価値を向上させようという戦略が取られています。国内でも取引先を選別する際にBCP対策の内容を重視する動きも増えており緊急時の事業継続力は会社の信頼性を示す重要な指標となりそうです。

BCP対策策定方法 BCP対策策定のファーストステップ

BCP対策策定方法①BCP対策の内容 4つのフェーズ

BCP対策4フェーズ

BCPの内容を示す4つのフェーズ
1. BCP発動フェーズ
2. 業務再開フェーズ 
3. 業務回復フェーズ 
4. 全面復旧フェーズ
上記は経済産業省が定めるBCPの4つのフェーズです。BCP発動フェーズは、災害や事故が発生し、初期対応を実施しBCP発動に至るフェーズです。業務再開フェーズではBCP発動後、代替品などを確保して重要商品やサービスの提供を再開し運用します。業務回復フェーズでは、最重要商品の提供を続けつつさらに業務範囲を拡大します。最後の全面復旧フェーズでは、平常道理の事業活動に完全復旧するフェーズです。各フェーズで確実な情報収集を行い、予め想定していた状況との差異を確認し、現場の状況に配慮して慎重な判断を取ることが求められます。

BCP対策の策定方法② BCP策定手順

BCP対策策定手順

① 基本方針の立案
② 重要商品の検討
③ 被害状況の確認
④ 事前対策の実施
⑤ 緊急時の体制の整備
中小企業庁は以上の5つのステップに分けてBCP策定手順を提示しています。
① 基本方針の立案では、BCP策定の目的や基本方針を定めます。
② 重要商品の検討では限られた人員で優先的に製造販売する商品やサービスを検討します。自社の売り上げや顧客への影響を踏まえて考えましょう。③ 被害状況の確認 災害や予期せぬ事態によってインフラや地域のシステムが機能を停止した場合自社にどのような影響があるのかを洗い出します。④ 事前対策の実施 上記の項目を踏まえて、代替品の確保など自社に必要な事前対策を検討実施します。⑤ 緊急時の体制の整備 緊急時の対応と責任者を整理します。

BCP対策とDCP対策 事業継続計画と地域継続計画

地域継続計画(DCP:District Continuity Plan)とは、被災時に優先して復旧するべき箇所や予めハード対策 を講じておくべき箇所を事前に地域で合意形成のうえ決定し、発災直後から各組織が戦略的に行動できる指 針となるよう定めておく計画です。東日本大震災時、規模の大きい一部の企業や都道府県規模の行政機関では既にBCP対策が掲げられていました。ですが残念ながらほとんど機能を果たすことはできませんでした。このことからわかるように、大規模災害の場合は1つの自治体だけ、1企業だけでは対応できません。既に自治体間では断水時に給水車を派遣しあい協力する取り組みが行われていますが、各企業も連携してDCP対策を構築できれば地域全体がより災害に強いシステムを持つことができます。内閣府が取り組む地方強靭化BCPは、まさにDCP(地域継続計画)とBCP(事業継続計画)の相互補完的な仕組みを目指したものです。内閣府の地方強靭化BCPとは、非常時にもサプライチェーンを継続させるため、地方ブロックごとに、国、地方公共団体、民間企業等が協力し、①物流インフラの確保②個別企業・企業グループ・業界BCPの連携によるさらに強い地域基盤を構築する仕組みを作ろうという取り組みです。

BCP対策・DCP対策におすすめの製品 断水時 応急給水タンク

BCP対策用品

最後に弊社が開発し地方自治体や上下水道局、学校病院のほか、企業のBCP対策として導入されるケースが増加している災害用給水タンクホリフトウォーターをご紹介します。東日本大震災の断水経験を活かした製品で、5分で組み立てて1トンの水を貯水することができます。福島テレビの防災大百科でも断水対策に有効な製品としてご紹介頂きました。断水時にすぐに使用できる大型の給水タンクがないと給水車は複数の小さな容器に給水を行わなければならなくなり、一拠点ごとに膨大な時間と手間がかかってしまいます。給水活動が停滞すると給水所に行列が発生し、密な状態になります。ホリフトウォーターは二連水栓式で水圧も一定で水の出が良く効率良く迅速に給水を行うため密の回避にも有効です。各避難所にホリフトウォーターを準備しておくことにより、断水時に即座に組み立て給水車からスムーズに給水を受けることができます。
ホリフトウォーターの5つの特徴
①特別な道具なしで大人二人で5分で組み立て可能
②安心して使える水を確保するためのいたずら防止ロック付き
③コンパクトに折り畳み据え置きタンクの1/5スペースで収納可能
④軽量にも関わらず、1トンの水を保存できる大容量
⑤二連水栓式で効率の良い給水ができ、行列や密を軽減可能

ホリフトウォーターがBCP対策に適している理由 トラックに積んで給水車の代用に

災害用給水タンクホリフトウォーター

BCP対策では「地震」「豪雨災害」など個別に対応するのではなくあらゆる状況を想定して包括的に防災対策することが求められています。ホリフトウォーターは近年様々な災害において頻発している「断水」に対策できる商品です。最も重要なライフラインである水の供給をスムーズにすることは地域の救助活動や復旧活動促進の支えになります。自社だけではなく被災地エリア全体の一刻も早い復旧が結果的に事業活動再開に重要になります。据え置きの貯水タンクでも日ごろから貯めた水で当面の必要量を賄うことは可能ですが、給水車の効率的な運用を助けて給水活動を効率化することで被災地エリアの水へのアクセス性を向上し地域貢献できるのはホリフトウォーターならではの働きです。東日本大震災では、市町村庁舎の被害も甚大で機能停止せざるを得ない状況に陥ったことが復旧遅れの要因の1つと言われています。今後は企業も自社だけではなく行政との連携も視野に入れて地域継続のための備えをする必要があります。

ホリフトウォーターの活用事例

給水タンクの事例1
給水タンクの事例2

ホリフトウォーター活用事例
令和元年台風第19号の断水、西日本豪雨「平成30年7月豪雨」の断水、平成28年4月熊本地震の断水、平成27年9月関東・東北豪雨の断水、熱海市の土砂災害など断水発生時には、ホリフトウォーターに水を充填して無料で運搬・設置を行う給水支援活動を行っています。給水支援活動によって被災地に一刻も早く水を届けることができるとともに、実際に使用された方の生の声から被災地でより安心して使用できる給水タンクを目指して改良を重ねてきました。

→事例詳細ページ

給水タンク

これからはDCP(地域継続計画)を視野に入れたBCPが重要
非常時における社会活動の維持を目的にした場合、BCP事業継続計画の上位概念としてDCP地域継続計画も考える必要があります。
企業のBCP対策に地域や自治体との連携も視野に入れて、相互に保管しあうことを前提とした仕組みづくりを始めてみませんか?
ホリフトウォーターは給水車の給水をスムーズにしてライフラインの確保を助けるだけではなく、使用後は内袋を処分するのみで洗浄作業が不要、簡単に折りたたんで収納することができるので断水解除後の手間も最小限に抑えることができます。BCP対策/DCP対策の強化としてぜひホリフトウォーターをご検討下さい。

ホリフトウォーターの詳細や、組み立てデモンストレーションをご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
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