断水とは
断水とは、水道が機能を停止し水を供給できなくなることを指します。
水道管の新設工事や老朽管の更新工事を行うために事前に計画して水を止めることを計画断水、災害や不測の事態で水を止めることを緊急断水といいます。※水道法における水道の定義とは〈導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう。ただし、臨時に施設されたものを除く。〉となっています。
地震や豪雨で断水すると飲用水や生活用水の確保が難しくなります。
東日本大震災は、給水所で2時間3時間の行列が当たり前という状況でした。↓
地震による断水
地震による断水の原因は、水道管の破損や損傷です。
水道管は地中に埋められており、地震による地面の揺れで継手部分が外れるなどして破損することがあります。水道管が破損すると地上に水が噴出します。また地震による津波で家が流され、住宅と水道管の接続部分が壊れることによっても断水が起こります。
水道管の老朽化による断水
水道管の老朽化による断水の原因は、経年劣化による水道管の破損です。
水道管の法定耐用年数は40年です。高度経済成長期に整備されて以降更新されず、新耐震基準を満たしていない水道施設も多くあります。地下にある水道管が経年劣化で破損すると、漏水が起きます。漏水によって水圧の低下や、道路の陥没などにつながることもあり、緊急断水が行われるケースがあります。
水道管の凍結による断水
水道管の凍結による断水の原因は、水道管内で水が凍結することで固形化し流動性を失った結果、蛇口からの供給が止まることです。
水道管が凍結し破裂すると水漏れなどが起きます。水道管の凍結による断水は、外気温がマイナス4度を下回る時や長期間水道を使用しない場合に起こりやすいです。寒波が予想される場合は、水道を凍結防止ヒーターや水道管を保温材で包むなどの防止法があります。
停電による断水
停電による断水の原因は、水道施設が必要とする電力が供給されなくなることです。
水道の蛇口まで水を送りためには電力が必要です。そのため停電になると送水できなくなり断水します。最近では停電時も送水できるよう発電機を備えているところもあります。
1日で使う水の量
東京都水道局によると家庭で一人が1日に使う水の量は、平均214リットル(令和元年度)です。
日本は水道水の安全性が高く、海に囲まれているため水資源も豊富な印象があります。しかし関東、中部、近畿臨海でここ1世紀の間に年降水量が150~200mm減少しました。少子高齢化で人口は減少傾向にありますが、各家庭に風呂があることが当たり前になり、トイレも水洗式になりました。昔と比べて水を使う機会は増えています。飲み水はもちろん洗面、手洗い、炊事、洗濯、お風呂、トイレなど水は生活に欠かせません。
では、断水が起きるとどうなるのかを見ていきましょう。
断水で起こる困りごと
断水によって困ることには、「洗面や入浴ができない」「トイレを使うことができない」「調理ができない」「断水期間の見通しが立てられない」などがあります。東日本大震災では、数日間洗面も入浴も難しい状況で、衛生に関する深刻な問題やストレスの助長、花粉症の悪化など様々な声があがりました。トイレやキッチン、お風呂場、全ての水が使えなくなるため、日常生活が著しく制限されることになります。
広域災害などで断水が発生した場合は、通常は市区町村で対策本部が設置されます。水道施設の復旧活動と並行して断水エリアには、給水車が派遣され給水活動が行われます。避難所など特定のポイントにポリタンクなどを持参して必要な水を汲みに行く必要があります。
この際、多くの人が水を得るために給水所に行列し、屋外で長時間待つことになります。体力がないお年寄りや、車を持たない単身者の負担は大きいです。さらに、断水期間の見通しが立てづらいことも大きな課題の一つです。
断水戸数と断水期間
過去に起こった断水の断水戸数と断水期間についてまとめました。東日本大震災では復旧に5か月以上要した地域もあり、水道管の老朽化問題の議論や円滑な給水活動計画の見直しなどが行わています。
地震名(最大震度6~7) |
断水戸数 | 断水期間 |
---|---|---|
阪神・淡路大震災 | 約130万戸 | 約3ヶ月間 |
新潟県中越地震 | 約 13万戸 | 約1ヶ月間 |
東日本大震災 | 約 256.7 万戸 | 約5ヶ月間 |
平成28年熊本地震 | 約 44.6万戸 | 約3ヶ月半間 |
大阪府北部を震源とする地震 | 約9.4万戸 | 約2日間 |
平成30年北海道胆振東部地震 | 約6.8万戸 | 約34日間 |
豪雨・寒波名 | 断水戸数 | 断水期間 |
---|---|---|
平成23年7月新潟・福島豪雨 (新潟県、福島県等) |
約5万戸 | 約68日間 |
平成27年9月 関東・東北豪雨 (茨城県、栃木県、福島県、宮城県) |
約 2.7万戸 | 約12日間 |
平成28年1月 寒波による凍結被害 (九州を中心とした西日本一帯、1府20県) |
約50.4万戸 | 約7日間 |
平成28年8月 台風10号 (北海道、岩手県等) |
約1.7万戸 | 約39日間 |
平成29年7月 九州北部豪雨 (福岡県、大分県) |
約3000戸 | 約23日間 |
平成30年1~2月 寒波による凍結被害 (北陸地方、中国四国地方) |
約3.6万戸 | 約12日間 |
平成30年7月 平成30年7月豪雨 (広島県、岡山県、愛媛県等) |
約26.3万戸 | 約38日間 |
令和元年東日本台風 (福島県いわき市等) |
約4.5万戸 | 約16日間 |
令和3年7月熱海市土砂災害 (熱海市伊豆山地区) |
約1100戸 | 約14日間 |
令和4年9月台風15号 (静岡県清水市等) |
約6.3万戸 | 約12日間 |
令和4年8月3日からの大雨 (青森県・山形県・新潟県・石川県・福井県等) |
約1.4万戸 | 約1週間 |
東日本大震災の断水
東日本大震災では19都道府県という非常に広範囲での断水が発生し、津波により浄水場から配水池へ水送する基幹管路で漏水が多発し、配水池への送水が停止しました。水道関連施設の被害は大きいものでしたが、多くの方の尽力で水道復旧率は1か月後に約97%に回復。しかし地震発生から丁度一か月が経過した4月11日に、震度6弱の余震が発生しました。それにより100,000戸が断水。給水所は約23か所に設置され、給水車は県外からの水道事業体や自衛隊の応援も含めて最大35台~60台が給水スポットを回りました。平成25年3月までに全施設の本格復旧を終了しています。
西日本豪雨での断水
西日本豪雨では12の都道府県で断水が発生しました。さらに豪雨で土砂災害が起き、取水井への被害で水質低下を招き、ダムや浄化水槽に被害を受けて送水を停止した地域もありました。
断水対策の方法1
個人ができる断水対策
おすすめの断水対策には、「①水道水の汲み置き②長期保存用の水を備蓄する③風呂の残り湯をためておく④非常用トイレや、水不要の生活グッズの準備⑤市の給水所を把握する」などがあります。
日本の水道設備は老朽化しています。地震・津波の防災対策を考える際は断水による被害も常に想定しなければなりません。断水に備えて個人ができる対策をご紹介します。
- ①水道水の汲み置き
- 飲料用と調理用水を1人1日3リットルの3日分で9リットルほど清潔な蓋付きポリタンクで汲み置きしておきましょう。水道水には塩素が含まれており、消毒効果で汲み置いてから3日間ほどは飲料用に使用できます。煮沸すると塩素の効果が薄れてしまうので、汲み置きをする場合は煮沸せずにそのまま水を注ぎ直射と高温を避けて保管し定期的に入れ替えます。
- ②長期保存用の水を備蓄する
- 災害に備えて5年から10年の長期間保存できる水があります。普段から用意しておくと安心です。
- ③風呂の残り湯をためておく
- 残湯は飲用にはできませんが、洗濯やトイレ水を流すための生活用水に使用できます。
- ④非常用トイレ、水不要の生活グッズ
- 断水するとトイレは流れなくなります。非常用トイレがあると、匂いを気にする必要がなく衛生的です。さらに水が不要なドライシャンプーや衛生用品、備蓄食料も活用しましょう。
- ⑤市の給水所を把握する
- 市の給水所を確認し事前に把握しておくこともおすすめです。給水所から自宅からの距離や道のりを知ることで、実際の給水方法をシミュレーションすることができます。タンクだけではなく、台車があれば便利な場合もあります。
また断水が発生すると、蛇口から水が出なくなりますが、マンションなど受水槽を使用している場合はタンクの中の水を使い切るまでは水が出ます。使い切ると水が出なくなります。この場合、断水中に水を使用すると故障の原因になるため、使用を控えましょう。
断水により送水が行われなくなると、水道管に空気や土などが混入することがあります。断水解消後に水道を使用すると土や空気が出てくる場合があるため、トイレや給湯器を使う前に、外水栓の蛇口を少しずつ開き、水がきれいになるまで水を出しましょう。
以上、断水に備えて家庭でできる対策をご紹介しました。
断水対策の方法2 給水タンクによる断水対策
最後に、自治体や上下水道局、企業、学校、病院の断水対策に最適な給水タンクをご紹介します。給水タンクがあれば、断水が発生しても給水車から直接多くの水を入れて貯水し、水を必要とする方々にすぐに給水を開始することができます。
給水タンク「ホリフトウォーター」は弊社が東日本大震災の断水経験を活かして開発した折り畳み式の給水タンクです。1トンの水を衛生的に保管でき、5分で組み立てが完了します。実用性・収納性の高さに定評のある製品です。
[災害用給水タンクとしての活用事例]
・和元年台風第19号、西日本豪雨、平成28年4月熊本地震、平成27年9月関東・東北豪雨、令和3年7月熱海市伊豆山土砂災害など
ホリフトウォーターは、水を入れてトラックで運び給水車の代用品としても活用できます。給水車の台数が増えると水の供給が迅速になり、水へのアクセスを向上させることができます。さらに非常にコンパクトで断水時以外は折りたたんで保管すれば倉庫の場所を取りません。
折り畳み式給水タンク
ホリフトウォーター
ホリフトウォーターのデモのご希望やご質問は、お問い合わせフォームかお電話でお気軽にお問い合わせ下さい。
ホリフトウォーターの導入事例や製品詳細は以下からご覧いただけます。
→ホリフトウォーター詳細ページを見る