スキッド(skid)梱包とは、主に工業用包装採用されている、荷物を木箱や包装紙で包まずに、腰下部分に角材やスチールで下駄をはかせる方法です。梱包費用を削減できるというメリットがありますが、保護性は低いため取扱いに注意が必要です。スキッド梱包のデメリットは、上部の保護が無く段積みができないため、輸送効率が低くなることがあります。スキッド梱包のスキッド(skid)とは、英語で腰下を指します。スキッド梱包は「下駄」や「ソリ」に似た特殊な荷姿をしています。そのため英語圏では、sled(ソリ)と呼ばれることもあります。スキッド梱包の表記は、S/Dです。
スキッドとは
スキッドはJIS規格上、「主としてハンドリフトトラックによって荷役できるように作られた単面形パレット」と定義されています。つまり下面に板(デッキボード)を持たない単側使用のパレットの一種と言えます。 スキッド梱包は、主に大型で重量のある貨物を扱う場面で用いられます。
例えば、工作機械や産業機械の本体・部品、鉄鋼製品など、段ボール箱や木箱に収まりきらない大型製品の梱包に適しています。
貨物自体が堅牢で多少露出していても破損の恐れが小さい場合や、防水などの厳重な保護が不要な場合に、この簡易梱包が選択されます。
スキッド梱包とは
スキッド梱包は荷物を載せた状態で下からバンドを通して、器具等で結合し、ハサミでバンドをカットします。株式会社ウインテックスでは、この工程を作業者が直立不動で、1台の装置のみで完結できる「エルゴパック」を取り扱っています。
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スキッド梱包の使い方
スキッド梱包は、主に大型で重量のある貨物を扱う場面で用いられます。
例えば、工作機械や産業機械の本体・部品、鉄鋼製品など、段ボール箱や木箱に収まりきらない大型製品の梱包に適しています。
貨物自体が堅牢で、多少露出していても破損の恐れが小さい場合や、防水などの厳重な保護が不要な場合に、この簡易梱包が選択されます。
実際、海上輸送用の梱包形態としては「ケース梱包(密閉木箱)」「クレート梱包(すかし木箱)」「パレット梱包」と並び、「スキッド梱包」は代表的な手法の一つです。ケースやクレートのように囲いがない分、結露しにくく通気性が高いため、コンテナを使う海上輸送にも適しています。
スキッド梱包では荷物を固定する際に、必要に応じて梱包用の補助資材を追加することもあります。画像の用にスキッドの下部などに巻き付けて、想定外の衝撃から守る「プロパフレックス」のような緩衝材の活用もおすすめです。
荷物全体をラップフィルムで覆って簡易的な防塵・防水対策を行うのも効果的です。結束用バンドやボルトで荷崩れを防止するなど、内容物の特性や輸送環境に応じて柔軟な対処が可能です。
特に、長距離輸送や海上輸送では、防水性・防湿性の確保が重要になる場面もあります。
そうしたケースでは、ウインテックスが提供する防湿シートや防水フィルムの併用が効果的です。これらの製品は、スキッド梱包における簡易性を損なうことなく、貨物の保護性能を高めることができます。
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スキッドとパレットの違い
スキッドとパレットの最大の違いは、構造にあります。
パレットは、上部と下部の両方に板(デッキボード)を備える両面構造で、上板が荷物を載せる床面、下板が地面に接する底面となります。一方、スキッドは、上部のみ板がある単面構造で、下部に板がなく、荷物を支えるのは桁(ストリンガー)やブロック状の支持体のみです。
スキッド梱包は、ソリに似た荷姿で、梱包物が土台の上に直接固定されている点が特徴です。
この構造により、スキッドはパレットとは異なり、上部の板(デッキ)があるのみで、下部は開放されています。使用方法としては、上部の板に製品を載せ、バンドなどでしっかり固定するという点ではパレットと同様です。
パレットの構造
パレットの構造は、「デッキボード」「ケタまたはブロック」「差込口」で構成されます。
デッキボード:パレットを平置きしたときに、地面に対して平行になる面。荷物を載せる上部と、地面と接する下部の板。両端の板は「エッジボード」とも呼ばれます。
ケタ/ブロック:上部と下部の板を結合する構造材で、板状がケタ、立方体がブロックです。
差込口:フォークリフトのツメを挿し入れる空間部分を指します。
スキッドの構造
スキッド梱包の特徴は梱包物がソリに乗っているような特徴的な荷姿です。スキッドの構造は、パレットと異なり、上部のデッキのみで下部のデッキがありません。
スキッドの使い方は、パレットと同様に上部デッキに製品を乗せてバンド等で梱包するというものです。
スキッド梱包とパレット梱包を比較した場合、パレット梱包の方が汎用性に優れているのが一般的です。
パレットは、食品・工業製品など幅広い業界で用いられており、製品を積み上げてストレッチフィルムやバンドで固定することで、安定性・耐久性の高い梱包が実現できます。
一方でスキッドは、パレットに比べて安定性と耐久性がやや劣る傾向があります。特に輸送中の衝撃や積載時の歪みに対しては、より慎重な取り扱いが必要です。
スキッド梱包のメリットは、コスト面・作業の簡略化です。下部デッキが不要なため、使用する木材の量が少なく、材料コストを抑えることができます。また構造がシンプルで、製作や梱包にかかる手間も削減できます。さらに接地面が小さい(摩擦が少ない)ため、重量物であってもフォークリフトなどでの移動が比較的スムーズです。
フォークリフトでの差し込み方向
構造の違いは、実用面にも影響します。パレットは製品にもよりますが、四方差し(どの方向からもフォークリフトのツメを差せる)に対応しているものが多く、倉庫内での取り回しが柔軟です。
一方、スキッドは構造がシンプルであるため、二方差し(特定の方向のみ対応)であることが一般的です。スキッドの桁の間隔や高さは荷役機器に合わせて設計されますが、差込方向には制限があります。
サイズと規格の違い
パレットはJIS規格(例:1100mm × 1100mmのT11型)など、標準化されたサイズが広く普及しています。
一方、スキッドは荷物のサイズに応じて都度製作されることが多く、統一規格が存在しません。このため、パレットが汎用性と再利用性に優れるのに対し、スキッドは個別対応・一回限りの使用が中心です。
荷物の積み重ね(段積み)の可否
パレットは上下が平坦なため、荷物の段積みが可能です。同型パレットを積み上げて輸送・保管することで、空間効率を高めることができます(ただし、荷物自体の強度にも依存)。
スキッドは上部に板状の平面がなく、荷物自体もむき出しの状態が多いため、基本的に段積みには不向きです。大型・重量物を単体で扱う場面では問題になりにくいものの、複数荷物をまとめて保管・輸送するには適しません。
共通する固定方法と作業の効率化
スキッド梱包・パレット梱包のどちらにおいても、荷物は下からバンドを通し、器具で結束する方法で固定されます。株式会社ウインテックスでは、便利なハンドリング式のバンド結束機「オルガパック」を取り扱っております。
またバンド結束工程のパレットのバンド通し作業を機械で行い、作業者が直立不動のまま、結束・溶着・カットまで1台で完結できる装置「エルゴパック」も提供しています。
スキッド・パレット梱包におけるバンド結束作業の作業負担を大幅に削減し、作業の安全性・生産性向上にも貢献します。
スキッド梱包を採用する際は、メリット・デメリットを把握し、貨物の特性や輸送要件を十分に考慮することが大切です。
例えば、「貨物が大型で頑丈」「段積みしなくてもコンテナに収まる」「使い捨て前提でコストを抑えたい」等の条件が揃えばスキッド梱包が有効ですが、そうでない場合は他の梱包方法との比較検討が欠かせません。
スキッド梱包のメリットデメリットをご紹介します。
スキッド梱包のメリット
- 梱包コストの削減
- スキッド梱包は使用する材料が最小限で済むため、梱包資材コストを大幅に抑えられます。実際、密閉型の木箱梱包(ケース梱包)と比べて約40%程度コストを削減できる(=価格ベースで約60%)とのデータもあります。木箱の外壁や天井板を省略できる分、材料費・製作工数が減り、結果として安価に梱包が可能です。
- 重量物の取り扱い容易化
- 底板が無い構造ゆえに、重量のある荷物でも地面との摩擦抵抗が少なく移動させやすいというメリットがあります。フォークリフトで爪を差し込みやすく、床との接地面積も小さいため、重量物を滑らせて移動(スキッドの語源でもある「滑る」に由来)させる際にも有利です。また、箱詰めではない分、梱包自体の重量が軽く収まり、輸送時の総重量を抑えられる場合があります。
- ワンウェイ輸送に最適
- スキッドは低コストで作製できることから、使い捨て(一方向)輸送に向いています。海外取引などで梱包材を回収しない前提の場合、頑丈で高価なパレットを使うよりも安価なスキッドで梱包する方が経済的です。輸出先で現地処分しても負担になりにくいため、輸出梱包として広く採用されています。
- スペース効率・高さの低減
- スキッド梱包は外装箱を持たないため、梱包全体の高さを低く抑えられます。他の梱包方法に比べておよそ15cm程度高さを削減できた事例もあります。これは、例えばコンテナ内で高さ制限ギリギリの貨物を梱包する際に有効です。無駄な余白を作らずに済むため、輸送コンテナや倉庫内でのスペース効率を高める場合があります。
- 通気性・乾燥性に優れる
- スキッド梱包は貨物を囲わないため、通気性が良好です。湿度の高い環境でも内部に湿気がこもりにくく、結露のリスクを低減できます。木箱梱包では長距離輸送中に内部で温度差から結露が生じることがありますが、スキッド梱包で貨物を開放状態にしておけば、空気の流通によって濡れやカビの発生を抑える効果が期待できます。特に海上輸送では重要なポイントです。
- 環境負荷の軽減
- 資材使用量が少ないことは、廃棄物の削減にもつながります。木材使用量を抑えられる分、森林資源の節約や廃棄時の焼却物減少といった環境面でのメリットもあります。また、梱包重量の軽減によって輸送時の燃費効率がわずかでも改善すれば、輸送に伴うCO2排出削減にも寄与し得ます。
スキッドとパレットの違い
- 保護性能の低さ
- スキッド梱包は貨物を囲わず露出した状態になるため、外部からの衝撃や積み重ね圧力、天候からの保護という点では不利です。上部や側面に何も覆いがないため、輸送中の雨水や埃にさらされるリスクがあります。防水・防塵が必要な製品や、表面傷が問題となる精密機器などには基本的に不向きで、その場合は木箱梱包やバリア梱包など別の方法を検討する必要があります。
- 段積み不可による効率低下
- 前述の通り、スキッド梱包は原則として荷物を重ねて積むことができません。そのため、限られたスペースに複数の貨物を収納したり輸送したりする際の空間効率が悪くなる可能性があります。倉庫内保管では一段のみの床置きになるため、保管面積を多く取ってしまいます。輸送時もコンテナやトラックの床面に1段に並べる形となり、ケースによっては容積効率が下がる点に留意が必要です。
- 安定性への配慮が必要
- 底板が無い分、荷物の重心や固定方法に注意を払わないと梱包全体の安定性に欠ける場合があります。特に重心の高い機械などは、揺れにより転倒・横倒しのリスクがあります。スキッド梱包では四隅や側面からの支えが無いため、バンド締め付けやくさび材の配置によって荷物をしっかり保持する工夫が不可欠です。また、フォークリフトで持ち上げた際に荷が滑り落ちないよう、滑り止め処置やバンドの二重化など安全策が求められます。
- 標準化されておらず再利用困難
- 底板が無い分、荷物の重心や固定方法に注意を払わないと梱包全体の安定性に欠ける場合があります。特に重心の高い機械などは、揺れにより転倒・横倒しのリスクがあります。スキッド梱包では四隅や側面からの支えが無いため、バンド締め付けやくさび材の配置によって荷物をしっかり保持する工夫が不可欠です。また、フォークリフトで持ち上げた際に荷が滑り落ちないよう、滑り止め処置やバンドの二重化など安全策が求められます。
- 国際輸送時の規制対応
- スキッド梱包で木材を使用する場合、国際輸送では植物検疫規制への対応が必要です。国際ルールであるISPM15(国際貿易における木材梱包材の規則)により、厚さ6mm超の木材梱包材(パレットや木箱、スキッド等)は熱処理または燻蒸処理を施し、所定のマークを表示しなければなりません。この手続きに不備があると税関で足止めとなる恐れがあります。パレット同様、スキッドでも輸出時にはIPPCマーク付きの材を使うか、きちんと消毒処理を行うことが求められます。
- 用途が限定される
- 総じてスキッド梱包は適材適所の梱包方法です。優れた汎用性を持つパレットに比べ、利用シーンは限定的と言えます。重量物・大型物以外では過剰包装になりかねず、逆に精密品には保護不足です。従って、すべての荷物に万能というわけではなく、「この荷物ならスキッド梱包が最適だ」という判断のもとで使う必要があります。
エルゴパックは作業者の肉体的負担を減らすドイツの背骨健康協会の認証を受けた電動式バンド掛け梱包機です。スキッド梱包やパレット梱包のバンド結束作業を効率化し、作業負担を減らし、従業員の健康を守るエルゴパックは、様々な梱包物に最適です。貴社の従業員が長く快適に働くための現場改善を実現するツールとして是非ご検討下さい。

商品名 | エルゴパック |
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サイズ | 幅770×奥行630×高さ1200 |
商品名 | 約100kg |
バンドサイズ | 幅12~19㎜、 厚み0.5~1.3mm |
最大梱包サイズ | 奥行2.4M(高さ0.7M) 高さ2.3M(奥行0.8M) |
連続結束回数 | 約500回 |
充電時間 | 8時間 |
メリット | |
屈まずにパレットにバンドを通す作業が簡単にできるので、背骨や腰への負担を大幅に軽減。作業者の負担を大きく削減。 |
本記事では、スキッド梱包とは何かという基本からパレットとの違い、具体的なメリット・デメリット、そして現場での活用事例や作業改善ツールであるエルゴパックの紹介まで包括的に解説しました。
スキッド梱包は、物流コスト削減や重量物輸送の効率化に大きな強みを持つ一方、適用には貨物特性への十分な配慮が必要な梱包方法です。 物流担当者や製造現場の責任者にとって、梱包形態の選択は輸送品質とコストを左右する重要な要素です。パレット、スキッド、木箱など各種手法の特徴を理解し、自社の物流ニーズに合った最適解を選ぶことが求められます。例えば、大型機械の海外輸送ならスキッド梱包で費用削減を図りつつ、必要に応じて防湿対策を組み合わせる、といった柔軟な対応が考えられます。 また、梱包作業そのものの効率化・安全化も、現在の物流業界では見逃せない課題です。
エルゴパックのような先進的ツールを活用すれば、作業者の負担軽減と作業時間短縮を同時に実現でき、生産性アップと働き方改革につながります。現場の専門性と最新技術の融合こそが、これからの物流改善の鍵と言えるでしょう。 スキッド梱包やパレット梱包を含む梱包技術は進化を続けています。
本記事の内容が、皆様の現場での梱包方法見直しや改善の一助になれば幸いです。コスト削減・効率化・安全性向上を実現するために、ぜひスキッド梱包という選択肢と、その周辺知識を活用してみてください。
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